戦後史の古典だそうです。初めて読みました。

映画「日本のいちばん長い日」は、年に1回は見返しているので、そのディティールを確認するように読めました。

ちなみに上映中の「日本のいちばん長い日」は2回目のリメイクだそうで(今回初めて知りました)、じゃあ最初はどうだったのか?と先月DVD買ってみました。

その上で先週、原田監督の最新作をみたのですが(どれだけ終戦好きなんだと思いますが)、当然ながら演出の違いに時代の流れを感じます。

「日本破れず」は、まだ終戦間も無い時期の作品で、冒頭、空襲で焼け出された家族が大八車を押して疎開していくシーンでは悲壮感が薄く、当時は「いや〜、ようやくウチも焼けましたよ」みたいな、今となっては信じられない会話をしていたと誰かの本で読んだことがあったのですが(なんとなくそういう会話にも想像がつきますが)、やっぱり実際そうだったのかもしれないと映像でその空気感を確認しました。

2回目の作品は戦後もすっかり落ち着いたころなので、畑中少佐が軍国主義の象徴のように熱く演出されすこし「反戦」映画の仕上がりになっていると思います。ただ映画としてはとてもドラマチックな展開で手に汗握る仕上がりで何度も見返しています。

最新作は、この本と同じように終戦4ヶ月前からの話です。最初はテンポが現代的で軽い感じと思いましたが(『あさま山荘』の原田監督らしい演出とも思いましたが)、もしかすると実際はこれが一番実際に近いんじゃないかなとも思えてきました。それと今回初めて詳細に描かれた昭和天皇は、終戦勅語の口語訳を初めて読んだときのように率直に感動しました。

たぶんまたこの映画も見返すことになるんだと思いますが、観ればみるほど、知れば知るほど、当時どれだけの重圧の中での決断だったのか、いろいろな立場の人たちの考え方や行動を思うと研究の興味が尽きません。しかし、エリート参謀達が”自殺”するのは現代的にもわかりますが、淡々とした阿南大将の自決には、切腹して果てる侍の江戸時代が当時リアルに残っていたんだなと、その点だけでもこの70年で隔世の感があると思いました。

肝心の本書の感想が抜けてましたが、終戦に向けた「世論」構築の話がとても興味深く、当時は完全に報道機関が機能していなかったわけですが、その状態でどうやって状況を作っていったのか、具体的にそのやりとりをみて、なるほどこれはそのまま戦後、現代に通用する考え方(というか現代そのもの)だと思いました。

あとは著者のような革新官僚が推し進めていた国家社会主義的施策が行き詰まっているようにみえるので、この先どうなっていくのかどうすればいいのか、最近のオリンピックのゴタゴタみているとますます先行き不透明に感じますが、やはりそうはいっても国の中枢には、顔は見えないけど未来を考えている迫水さんのような人が今も頑張っているんでしょうね。

何かそういう話を少しでも届ける仕事ができないかなぁと、そんなことを考えています。