萩原くんと一緒に、あなた出版社の企画関係で西麻布の交差点傍の音楽制作プロダクションの社長さんに会ってきました。

交差点できれいな人が待っていて、モデルかタレントかなぁ(誰だかわかんないけど)としばらく見とれてたら、滑るように白いフェラーリがやってきて静かな爆音とともに去っていきました。花冷えの寒空の下、なかなかやってこない萩原くんを待ちながら、なんだか田舎から東京に出てきたころをしみじみ思い出しました。

さて、話は数年前に頓挫した企画で眠っている音源(いろいろなタレントが日本全国の民話を吹き込んだもの)を活かす企画についてで、こちらはぜひ企画を実現させて欲しいということであっさりと話がついたのですが、面白い方だなと話を聞いていたら、いまの音楽業界はユーザーを育てる努力をしていない。とポロっと語った言葉が気になって、「それってどういうことですか?」と尋ねたら、よくぞ聞いてくれたとばかりに、そこからさらに1時間ぐらい講義がはじまりました(笑)

ナベプロ黄金期からの現代までの音楽業界の変遷を、全部自分で見てきた言葉で話をしてくれて、教科書的に知っていた事実の行間が全部埋まりました。特に深夜ラジオ放送黎明期に当事者がどういった心境でことに臨んだのかということは、今、あなた出版社で電子出版に取り組もうとしている心境と相似形だと思い、取組方に間違いはないと確信しました。

また、観客が全部演奏者といった内部完結した音楽ビジネスではなく、絶えず新しいユーザーを育てる努力をしているんだという社長さんの話に胸打たれました。もちろん現実としては、それには時間も資金もかかるので、すぐには儲からないから、そこをどうするかが一番大事ことなんだけど、考え抜いたら必ずそれらを解決するアイデアがあるはず。

その社長さん、ビルゲイツの初来日のイベントを企画したというだけあって、とてつもなくネットの歴史と造詣の深い方で、いまのITの世界がネットだけで完結していること、だからこそどうやってリアルとつながりを持つか、その発想を持っている人に未来があるという言葉を胸に刻んで事務所を後にしました。

一刻も早く電子出版のサービスも開始したいと思います。一方で、まさに今、人材と資金の不足を痛感しています。どうやったら一気に解決できるのか。