面白かった。満足。映画館の大スクリーンで観るべし。
原作は文体がしっくりこず3ページぐらい読んだところで挫折し、そもそも戦国時代のマイナーリーグ戦ということでディティールをよく知らないこともあり、ほぼ事前情報なしで期待せずに観ました。
しかし、さすが特撮の樋口監督、こういう天正年間が観たかった!というシーンをリアルに再現してくれて完全に引き込まれてしまいました。それにリアルさを追求しながらも、ほどよく現代風にアレンジされていて、雑賀衆のスナイパーが登場してきたり、領国経営の様子も今風に分かりやすく描写されていて、終始ほほーと感心しながら観てました。
配役もすばらしかったと思います。野村萬斎さん上手い。声が良いです。聞き惚れます。それに佐藤浩市カッコいい。山口智充がかなり似合ってる。また豊臣方も良かったですが、特に山田孝之が良い感じでした。
同時期にエヴァンゲリオンのQも観てきましたが、あっちは映像はスゴイし超満員でしたが私はさっぱりでした(つまらなかった)。
映画の感想は以上です。
舞台となっている忍城。実は、SEIHAで最後の最後にみんなで訪問したお城でした。昨年の4月のことです。
本当はこの「のうぼうの城」も昨年公開されるはずだったのが、水攻めのシーンが津波を想起させるということで延期になったのですが、確かそれが決まった翌日に訪問しました。
そしてその日の帰りに、あぁこれはもう全くついてないな、ダメだなと思い、残った社員にいろいろ撤退して出直すことを正式に伝えました。
物語自体が敗戦物語なので、まったくもって状況が被ってしまったのですが、負けたとはいえ成田家同様、最後まで善戦したのでいまの状態があるとは思っています。
しかし、そこは経営者として少し成長した視点で見ると、やっぱりのぼう様は三流のリーダーです。
上兵は謀を伐つ
その次は、交わりを伐つ
その下は、兵を伐つ
その下は、城を攻む
せっかく城主が豊臣に内通して打開策を打っていたのに、まざまざと兵を伐つなどとは。ドラマとしては大変面白いですが、実態として巻き込まれた百姓は良い迷惑だったんじゃないかと想像しました。しかし、それ以上に愚かだったのは、そもそも攻めなくてもよい城を攻めた三成ですね。 まさに戦下手。
見終わった後、のぼう様のその後を調べると、一時蒲生家に身を寄せながらも城主とは仲違いして出家したということで、そりゃそうだろうなと思いました。
そうしてみると開城要求とは要するに敵対的買収ですね。家臣団(取締役)は解散して浪人になるけど領民(社員)は保護される。この場合の城攻めはプロキシーファイトみたいなものでしょうか。のぼう様は解任されるのがとにかく嫌だったようです。
今回は相手も愚かだったので、さしずめ敵対するチェーン店が買収をしかけて殆ど決まりかけていたのに、買収される側の支店が本社の都合を聞かず勝手にライバル店と値下げ競争を始めてしまって、買収が決まる直前に双方消耗して閉店みたいな感じでしょうか。双方とも本社の意向に従っていれば、お店も店員も、その地域のお客さんもサービスを受けられたのにね。
でもだからこそドラマになるんでしょう。日本人の判官贔屓にもうまくマッチしていて、とにかく映画としてはとても面白かったです。
上兵は謀を伐つ。
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