震災から179日目だと、今朝の朝ズバでみのもんたさんが言っていました。およそ半年経ったわけですね。

月並みな表現ですが、私にとっても創業来の激動の半年、そして初めての本格的な経営危機だったと思います。先月から第9期に入りましたが、攻城団の開発中止や事務所の移転、人員縮小、引継ぎ案件、その他の事業の整理、資金繰りなど様々な課題を整理して、緊急危機的な状況は完全に脱したことをここにお伝えしたいと思います。

この半年間、ご迷惑、ご心配をおかけした関係者の皆様には改めてお詫び申し上げ、また、そのような状況にも関わらず引き続きお取引頂いている皆様、また新たにお声掛けくださった皆様に、この場を借りて御礼申し上げます。ありがとうございました。

朝ズバでは、津波から避難するため漁港から出港し、津波の大波に乗り込まれそうになっていた小型漁船の船長さんの話を映像を交えて特集していました。大波に対しては舳先を波に対して直角に向け乗り越えるというのは知っていましたが、実際にそうやって乗り越え無事に生き延びたようです。それを見ながらジョージクルーニー主演のパーフェクトストームを思い出してましたが、映像はまさにそれでしたね。

また、漁船の船員の方が、波を乗り越える過程で、スクリューの空転を防ぐために瞬時にギアをニュートラルに切り替えたり、直後にフルスロットルにしたりといった判断をしたと語っていました。まさに一瞬の判断が命取りになりかねず、その時は、いろいろな思いが走馬燈のように駆け巡ったとも。

もちろん実際には理屈にあっていても、上手くいかない巡り合わせもあると思います。映画のほうもネタバレですが最後は・・・。結局その時々の瞬時の判断の積み重ねが結果としてよかっただけ、つまり基本的に船長の運が良かったのだと考えます(もちろん、その運の良さこそ大事なのですが)。

番組を見ながら、取材を受けている船長や船員の方の表情を見ていたのですが、船も無事で震災前と同じく操業ができていて、津波からも無事生還したにもかかわらず、そこに歓喜の表情が全くなかったのが印象的で、そしてなんとなくですが、それがわかる気がしました。

今回、その船長ほどの極限状態ではありませんが、同じように今は大波を乗り越えた感覚はあります。しかし、今それはホッと一息、よかったぁというような感覚ではありません。結局、真正面から受け止めて、それぞれの事柄について、その一瞬の判断に集中するしかなかっただけで、いろいろな巡り合わせに対して運が良かっただけ、そして何よりもう二度と味わいたくないといった感想です。

そして、これまた月並みですが、その経験を通じて周囲の人々に感謝したいと思いました。この半年、厳しい状況にも関わらず変わらず支えてくれた家内や、長い夏休みどこにも連れて行かない父親を文句も言わず黙ってみていた子供たち、諸々の判断に何も言わずついてきてくれた取締役、それに先行き見通しの全く立たない中残って仕事を手伝ってくれた社員を前に、この間、自分は経営をしていなかった、させてもらっていただけだったという思いをさらに強く持ちました。

社長という仕事は、経済的に危険を伴う決断をする仕事だと、本を読んで知ってはいました。リスクを取るなど分かったようなことを言っていた自分が恥ずかしいです。経済的に危険を伴う決断とはどういうことか、それに失敗するとどういうことになるのか痛感しました。結局、これまではリスクしか取っていませんでした。

また、自分が何に対して弱いのかということも、何に甘く何に対して鈍いのかということも、いやと言うほど見せつけられ、今回は本当によく分かりました。

だから今後上手くいくとは断言できませんが、もう二度とこのように大きく失敗することはないと思います。また無いようにするために、誰に何を言われようとも、家族や社員を経済的な危険に陥れないことを大前提に、その上で成し遂げるべき将来性ある事業を元に経営していくこうと決意しています。

余談ですが、先日社員と飲んでいるときに、今は男ばかりになったので、みんなにこの先所帯を持つつもりはないの?と聞きました。先々が見えないからそんなこと考えたこともないですよ!と即答。

そうだよね。こんな危なっかしい会社の社長が愚かな質問してるよな、と一気に酔いも醒める思いだったのですが、そもそも自分が見本になっていないんだなとも思いました。

あまり家庭のことは書いていませんが、所帯を持っていろいろ負担や制約も増えたけれど、今回自分自身の経験を通じても、だからこそ良かった、成長しているなと思うことのほうが多かったと思います。これは一人だったら絶対に乗り越えられなかったわけで、是非、同じように共創できる経験ができるようにしてあげられるといいなと思っています。

もちろん、それは単に高給を支払ってやるというような話ではありません。ともに切磋琢磨し、経済的な安定を獲得できるような環境にして、事業に集中していこうということです。私自身は、そのためにも彼らが所帯を持つことを前向きに考えられる環境に、まず何よりもそこを優先すべきだと考えて、先週から新しい仕事を作ることと給与体系の改善へ、着手することにしました。

もちろんこれは、今後この会社の事業を永続させるという決意でそう書きました。

実情としては、経済環境は非常に厳しいと思いますし、震災起点というよりは、原発事故起因でのビジネスの縮小、低迷がジワジワと効いてきているような気がします。

これはまったく自慢をするようなことではないのですが、年初に日経新聞の記事を引用して、地震こそわかりませんでしたが、現状のような状態になることは感じていました。

2011年1月4日 “私は45歳”

悲観論で書いたつもりはなかったのですが、読み返すと迷惑をかけるなどと余計な宣言(これは単純に自信がなかったんですね)も書いていて、もう二度とこういった表現は、軽々に書くまいと思っています。もう迷惑はかけません。十分に現実は直視しましたから。

それでここで一番言いたかったことは、例え焼け野原のような経済状況だろうとも、例えそれがバラックの掘っ立て小屋からの再起だとしても、新たに業を起こして伸張させようという信念があれば、偉大な先達に倣って必ずや経済的な発展に繋げることができるだろうということです。

そのためには今ある仕事に集中するとともに、新しい仕事にも積極的に取り組んでいこうと、具体的には「新しい出版」について、この年初のエントリーでの宣言通り本腰を入れて動きます。

この9月より電子出版社の看板を立てるべく正式に活動を活性化します。返本のない出版を目指すと書いていて、物理的にそれがない出版をいきなり始めることになったわけで、まさに書いたことが実現しているなと思っています。

すでに複数の執筆者の方々にはこの事業のパートナーを通じてお声掛けをし、企画会議を進めさせて頂いています。また、社内でも関連メディアを立ち上げるべく宣言をしました。これから年末にかけて出版に向けて準備を進めます。

この時期に、このような電子出版社の立ち上げに携われる機会を持てた幸運を感じていますが、手がけるならば、まず何よりもこの出版社のテーマが何かということを明確にしなければと考えています。

テーマとしては、自身の経験を通じて、多くの人に元気を与えるような内容にして欲しいこと、また”これからの日本を作るために”何をどうするかという視点で書いて欲しいとお願いしています。

総理大臣が替わりました。相変わらずの支持率云々の報道をみて、白けると同時に、変われないマスコミも大変だなと同情しましたが、そんな表層的なことよりも、自分としては社会の現役世代として、泥臭くやると言っている総理に対して、できるうる限りの支持、支援をしてみようと思いました。

もちろん、ごくごく小さな範囲でしかありませんが、経済的な伸張に寄与できる事業活動を意識して、国内経済の活性化に寄与するという意識で考えていこうと思っています。

そういった意味でも、多くの人が元気になるような本、混迷している時代にささやかながらも灯火となるような本、そういったことを意識して企画を考えています。

ところで、今後この電子出版の取り組みについては、考えについては書くかもしれませんが、プロジェクトの進捗についてはブログでは一切お伝えしません。

ソーシャルメディアの時代に逆行する流れなのかもしれませんが、本当のお客さんがどこにいるのかを意識して、必要があれば告知しますが、今は読まれる本(電子書籍)を作ることに集中すべきだと考えています。

何はともあれ、9月に入って気持ちとしても体制としても、全力で事業伸展させるために再び立ち上がりました。

経営者としては、お客様よりご依頼頂いている仕事に対して全力投球なのはもちろんのこと、社員の安定と発展を優先して環境を整えて、永続的な伸張が期待できる会社にしようと思います。