昨年、金風舎に続く2つ目のデジタル出版レーベルとしてPIONNIERを立ち上げました。第2弾の執筆が遅延気味になっているところに、編集制作体制がゴタゴタしてしまい、あっという間に1年経ってしまいました。
東北地域の企画から始動のため改めて仙台に出向き話を伺いましたが、今回話しを伺っているうちに、このところいくつか感じていたことが繋がってきました。
PIONNERは電子書籍とプリントオンデマンド(POD)の組み合わせで実践しています。この手法を始めた3年前は、私自身デジタルと紙のハイブリッドだと認識していましたが、いまはどちらもデジタルだとの認識に加え、コンテンツ制作に関しては、ネットメディアを加え、マルチプロダクト対応が求められるようになってくるだろうなと感じています。
ただ電子+PODの手法については効能以前に存在自体がほとんど認知されておらず、その課題を再確認しましたが、話を伺っているうちにPODの仕上がりに研究の余地が大きいことに気づきました。PODの仕上がりは決して「悪かろう」ではありませんが、製作コストが安ければいいのかということです。
実はこの日、いつも立ち寄る駅ナカ書店で、このPOD本がひっそりと並んでいるのをみつけたときに、やはり紙にするならば並製本の仕上がりを提供できるようにした方がよいだろうなと、最近立て続けに配布用単行本の製作依頼を受けたこともあって、対応の幅を更に広げる必要性を感じて考えていたところでした。
とにかく沢山の刺激を頂きあれこれ考えながら駅に向かって歩いているうちに、この日は最初に西口、次に東口で打ち合わせだったのですが、そういえばと感じることがありました。
最近、各地の駅を降りてみてなんとなく感じているのですが、駅裏感があるところが無くなっているように思います。慣れ親しんだ駅の顔としての表側はあったとしても、薄汚れ寂れた駅裏といった様相はどこにも無いような気します。
もしかすると、自分の中でも駅に表裏があると思いこんでいるように、まだまだ紙とデジタルといった二元論にとらわれている部分があるのかもしれないと思いました。
そういった意味では「在庫」や「流通」といった問題にとらわれるあまり、ソリューションとして安易にPODを考えていたかもしれません。そもそも初版部数と注文が見合っていれば在庫の問題は発生しませんし、そうであるならば販売をAmazon任せにする必要もありません。
最近は多層的なネットワーク空間を実感することが多く、マスを前提としたメディア空間からの転換の必要性を実感しながらも、まだまだ自分自身の発想はマスを前提としたものが残っているようです。さらに多面的にみていく必要があるように感じています。
PIONNIERはコンセプトから見直して再始動します。