くどいけど今後の人材採用のためにも旗幟鮮明にしておいた方がよいので。元編集者の方は採用しないつもりです(現編集者はあるかもしれないけど)。

さっき新文化の8月8日号を読んだのですが、トップ記事にPHP研究所デジタル事業部の太田さんの取材記事がでかでかと掲載されていて、やっぱり従来の「編集者じゃ無理」と書いてありました。

版元の中にいてこれを発言できるというのはすごいと思います。それを実行しているPHPはもっとスゴイと思います。

ちなみに海外有名IT企業のサービス開発フローになぞって6区分6人体制ということですが、プロダクションの当社としては、そこをさらに絞り込んで3分割4人体制で成り立つように工程を作りました。

とにかくスピーディーな対応能力が必要と太田さんも仰っていますが、そのためにまずはITをよく知っておく必要があると思います。

ただ記事を読んでいて、やはりメーカーの一部門でやっていると分からない点もあるんだなと思いました。

ボーンデジタルに限っていえば、ポイントは企画(開発)と対話(コミュニケーション)だと考えています。

企画についていえば「どうやって」ではなく「何を」作るのかが問題です。少なくとも著者に執筆を依頼するというパターンだけじゃなく、その枠組みを取っ払えばいろんな出版が可能です。

それから作ったら作りっぱなしというところからの脱却で、太田さんも「編集」と「営業」の枠組みからの脱却といっていますが、営業もまた変わらないとなりません。Amazonで1位を喜ぶのもよいのですが、本当にそれを喜んでいるだけでいいの?と思っています。

そのときに、読者と繋がることも大事だと思うのですが、それよりは書き手と繋がり続けるために何ができるのかを考えています。

いずれにせよ企画、制作、販売、これらいずれもネットを基盤にして新たな仕組みを構築することが不可欠で、ネットがあるからこそ「新しい何か」を実現できると思っています。

ちなみに短絡的に単なる批判と受け止められないように補足しますが、紙の編集者がボーンデジタル電子出版の編集者になれないのは、能力不足だからできないわけではありません。

例えていえば、なぜトヨタがインドのタタ自動車の類似商品を”作れない”のか、というようなことだと思います。ここで問われているものは高い技術力じゃないということです。

新しいものを創ることなので難しいように感じますが、実践については、とても単純なことだと思っていて、本田宗一郎が自転車にエンジンをつけたものを奥さんに試運転させ、それをバイクとして売っていたと同じようなことをやればいいと思っています。

日本の電子出版の議論が不毛だなと思うのは、それを儲かる儲からないという視点で見ていることです。編集者が右往左往している間に、個人出版はどんどん増えているわけで。儲けを出すようにするのに議論は不要です。

作ったら売る。売れるように努力する。ということですね。そこは社長の仕事(覚悟)だと思います。