大島渚監督の作品は、「戦メリ」よりも「青春残酷物語」とか「少年」などが強い印象に残っています。作品の批評ができるほど深く観ているわけではないのですが、何となく体調が悪いときには見られない、見終わるとぐったりする感じの迫力があるように思います。
でも、一番の印象はやっぱり「朝生」で怒っている姿ですよね。見ていてスカッとする思いがありました。
この本は、二人の息子からみたクリエイター大島渚の実像を語ったものですが、著者とは同世代ということもあり、まずはその点で興味深く読みました。
また男兄弟からみた父親の話ということでは、自分の弟のこと、また自分の息子達のことも考えて、その両方の側面からとても面白く読みました。
箴言集のように作ってありますが、その言葉自体が響くというよりは、その言葉を紡ぎ出した大島渚監督の目指した家庭像から滲み出てくる空気のようなものを感じました。
なんとも歯切れの悪い感想ですが、深く静かに心に響くよい本だったと思います。何度か読みかえすことになるのかもしれません。
最近、親父殿から自分が40代だったころどうだったのか、という話をいろいろと聞いていて、そうだったのかという思いがあるのですが、大島監督は親父殿より少し世代が上ですが、近しいものを感じて、監督に親近感を持ちました。
やっぱり父親というのは、どこか理不尽な部分が無いと面白くないのだと思いますね。引き続き自分も息子達の顔色を伺うことなく我が道を行くでいこうと思いました。
もっとも、実際には学校ではどうなんだと細かいことも気になるわけですが。そういうアンビバレントな部分も含めて父親というのも、やはり一人の人間なんだなということだと思います。
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