まだまだ不安について考えています。今日はちょっと違う視点から整理。

起業本によく「社員は不満、経営者は不安」といったことが書かれていますが、どちらも経験している身としては、これは真実だろうと思います。

不安は、先日も書いたように、実際には感じないようにしているだけで、実体としては存在していいますが、不満は実際に感じることも、実体としても少ないですね。ほとんど何事もやりたいようにやれていますから。

でも、振り返ってみると確かに社員時代は不満の塊のようなもので、当時の上司や同僚には随分と迷惑をかけたと思います。いや本当に。芸能人の恥ずかしい過去の仕事みたいなもので、今となっては苦笑いするしかありません(当時を知っている人もたくさん読んでいると思うので隠すことすらできません)。

家に帰っても、言っていることは正しいけどむかつく、と、あの頃はそんなことを言われてよく喧嘩してました。今思えば、自信のなさの裏返しみたいなもので、口先ばかりだったのだろうなぁと思います。

そういう意味では、社員が不満を漏らすことについては、自ら通ってきた道でもあるので、極力、その気持ちよくわかるよ、というところから対応するようにしています。一方で、「ちょっと待ってくれ」と当時の上司がいっていたような回答を自分もしていて、これまた苦笑い状態だったりしますが。まさに因果応報(笑)

では、社員時代の不安はどうだったかというと、単行本編集を経験している人ならよくわかると思いますが、あれって実体としては会社の看板を借りた個人商店の集まりのようなもので、しかも同業他社が机を並べて仕事しているようなものですから、手がけた本が売れた売れないの結果がストレートに響くのは、本当に毎日が不安といったものです。

最初の会社の社長に、「3冊売れない本が続いたら死にたくなるよ」と、一番最初に言われた言葉はいまでも忘れられませんが、本当にそういうどん底に陥ったことも何度もありましたけど、そうなると次だす本がもし売れなかったらと、とにかく焦燥感にかられること多くて、その裏返しで職場や上司に責任転嫁した不満をぶつけていたりしたようにも思います。

どうやって切り抜けたり、やり過ごしたのだろうと思い返すのですが、今不安を感じないようにしているのと同様に、どうやっていたのかもう正確には思い出せませんが、やはり何かそういった対策をしていたように思います。

ただ、不安の元となっているものに対して、いくらそれを解消していっても不安の種は尽きないということは思っていて、自信がないことや未経験のことに直面したとしても、ひたすら、人に会って企画書つくって、ということを繰り返していたように思います。

まぁひとつには「鈍感」だったのが幸いしたんでしょうね。ひとまず不安を感じるということは、真っ当な神経だということなんだけど、あまりに敏感すぎるのもまた心折れることになるのだろうと思います。

もうひとつは、儲かるかどうかを判断基準に据えることができたのが幸いしたかもしれません。目に見えて会社の売り上げに貢献したかどうかがわかるわけです。売れなかったらそりゃ不安ですが、売れた時はそれ以上にうれしいし、それまでの不安はどこえやらというわけですね。

これが努力目標だったり、上司の評価だけだったらつぶれていたかもしれません。一度自ら手掛けた仕事で儲かったという経験をしたことがその後も仕事を続けられる原動力になっていることは間違いありません。まぁいわゆる成功体験ですかね。

まとまりませんが、不安は解消しないで、不安とともに過ごす方法を探るか、不安を打開する行動をとるか、そのどちらかしか道はないんじゃないのというのが今考えていることです。

具体的には、どうやって儲けるのか考えて実行することに尽きると思いますが、先日も書いたとおり、絶対に儲けるぞと思いながらも、現状では絶対にもうからない、というところからスタートすれば不安に苛まれることは少ないだろうと思います。

ということで、社員の多くが、不満よりも不安を口にしているということは、それだけ新しい仕事に真正面に向き合っているということの証左だと思うので、いたずらにそれを会社として解消させようとは考えていません。

それぞれ自分で考えてほしいと思いますし、じゃなきゃ、その先のお客様(顧客そして読者)との対話なんてあり得ないでしょうから。