18日(月)から全社在宅体制は解除します。

解除しますが、それ以前に戻すのではなく、リモートワークが選択できる勤務体制を標準体制に切り替え、オンライン営業体制を強化することにします。

コロナ禍以前、一部社員にリモートを試していたのですが、全社で一気に実施することで意識改革が進んだ一方、課題も浮き彫りとなりました。

この過程で気づいたことをまとめておきます。

評価体系の問題

デジタルクリエイティブで予め各種オンラインツールの導入を進めていたためリモートワークへの転換は極めてスムーズに進みました。

ところが1週間もするとマネジメントが疲弊して、これを週5日連続で続けるのは不可能と考え、マネジャーたちのために週休3日に切り替えることにしました。

疲弊する原因を探った結果、成果評価体系のないチームでリモートワークを導入すると、マネジメントの負担がとてつもなく大きくなることがわかりました。

どういうことかというと、依頼された作業をこなすことを任された仕事と考えている社員をリモートワークにした場合、その作業成果が評価に値するかどうかをマネジメントが引き取りに行っていちいち確認する必要があるということです。

簡単にいうと「やりました!」という報告(すらない場合がほとんどだが)を成果と考えている社員には、いちいちマネジメントが確認に行かなければ本当の成果が上がっているかどうかがわからないということです。

それまではちょっと声かければ片付いていたことが片付かなくなって塵も積もれば山となるですね。

どうしたらよいのか?と頭を悩ませていたときに、アウトカム評価という言葉に出会いました。

アウトカムとは

日本語でいうと結果や成果という意味のようです。

日本人としてはアウトプットの方が馴染みがありますが、アウトプットが自動処理して出てきた出力結果とするならば、アウトカムはその結果を加工して成果にするといったイメージのようです。

つまりアウトプット評価であれば「結果は出たか」だが、アウトカム評価であれば「成果は何か」をみることになります。

当社の場合、既定の部品を作る作業もありますが、大げさに言うと成果物はすべてが新規製品であり、新規開発になります。

とくに顧客の要望を満たす成果物を提出できたかどうかは、結果ではなく成果を確認する必要がありますので、この場合アウトカムという言葉が適していることがわかります。

そういえばずいぶん昔に成果主義のことを「結果しかみないのか!」と騒いでいたことを思い出しました。あれ、いまならAIにとって代わられるワークをしていた人たちだったということですね。

仕事を楽しむための選択肢

仕組みはわかりましたが、これを管理システムとして導入することで解決するのか?との疑問は残りました。

とにくICT化は進んでいるので、ちょっとした作業はどんどんやらずに個人レベルでかなりの業務をこなせるようになってきています。

一人のデジタルクリエイティブをやっているプレイヤーとして考えてみても、あくまでも設計が済んで制作工程に入っている場合に限ってですが、様々なプロフェッショナルと学生アルバイト、そしてチャットと電話があれば、本もウェブサイトも完全リモートワークでできてしまいます。

ただ、それをこなすことを目的、つまり成果とするとこれほど過酷な環境はないなと感じています。

実際、このリモートワーク期間中はモニターに張り付いているか、短いインターバルで、必死になってアウトプットを出すことに集中するかで疲弊してしまいました。

当たり前のことですが、リモートワークは成果をあげるための選択手段であって、それ自体がクリエイティブを促進するわけではありません。

リモートワークは、仕事の成果をあげるための単なる選択肢でしかなく、導入することで「仕事を楽しめるかどうか」がクリエイティブにとっては重要だと、今更ながら気づきました。

基礎構造から建て直し

リモートワークは、仕事を楽しむための働く手段として、働き方の選択肢として今後も導入を促進していきたいと思います。

一方で、成果を上げるためにステークホルダー、チームメンバーに対して、自発的な対話を促すため、成果報告の規定(無駄なホウレンソウを減らすため)や評価基準(報酬アップの動機付けのため)を明確にしていく必要があると考えています。

去年、労基署からの是正勧告でバカバカしい書類作業を大量にこなしましたがもはや全部スクラップです(笑)

そして、これはまた別の課題でもありますが、同時にオンラインコミュニケーションの質を、チャットツールやSNSの活用促進で図っていく必要があると考えています。

中間報告的に。

  • リモートワークは働き方の選択肢として継続
  • あくまでも「仕事を楽しむため」に活用する
  • アウトカム評価の評価体系をつくる
  • オンラインコミュニケーションを促進する

コロナ渦の緊急対策で、とにかく疲弊しましたが、本質的なことはそれ以前に考えて準備していたことと何ら変える必要がないことがわかりました。

それ以上に、仕事を楽しむ、といったキーワードを大々的に掲げることができるとわかって、展望も開いてきた感じがします。