ぱる出版さんの新刊です。萩原デザインで見本があったのでパラパラ見てたらなかなか良くてそのまま一気に読み終えました。ファーストリテイリング柳井社長のいろいろな発言を集め、著者が解説を加えた本です。松下翁とドラッガーが師匠と仰るだけに、柳井社長の言葉を読むだけでいろいろと考えさせられます。

エントリータイトルは、よく引用される柳井社長の言葉です。苛烈ですね。でも、これからはそういう厳しさが職場の標準になっていくだろうと感じています。

ユニクロ・柳井正の進化し続ける言葉
ユニクロ・柳井正の進化し続ける言葉
おすすめ平均
starsプロフィット(利潤)とリスクはイコールだ
starsいまはよくても、これからが見もの・・・

ちょっと話がそれるようですが、下記の本を読んでて、たぶん多くの人が誤読するんじゃないかと気になる部分がありました。

「即戦力」に頼る会社は必ずダメになる (幻冬舎新書)
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幻冬舎 2009-09
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おすすめ平均 star
star人事のものさし
star成果主義を批判するが、その根拠に説得力あり!!
star明確になった会社の目的

新しい経営者とは、社員を経営資源ではなくパートナーとして考えている経営者です。社員を売上や利益を上げるための「資源」として考えていないのです。その新しい経営者は異口同音に次のような発言をします。
「社員を成長させたい。そしてもっと収入を増やしてあげたい」P.176

私も全く同感で、そうしたいと常々社内でも話をしています。

しかしこの場合「資源」に対して「パートナー」という言葉が人間的な響きなので、なにかこうやさしく、良くなっているように感じられますが、実のところ「資源」として上手に働かされることのほうが幸せなこともあると思うんですよね。

この著者のいうようにパートナーになるってことは、経営者と同じ目線で成長していくことを求められるということなので、裏返せばついてこられない人は去れということ。つまり柳井社長のいう「泳げなければおぼれればいい」の真意もそういうところにあると思います。

実際私も、今回新しく入ってきた人には予め雇用は保証できない、という話をしているのですが、それはまぁ年代も同じだし、苦楽を共にする仲間にならないか?ということなんですけど、もちろん、その背景には、成果が上がらない人には去ってもらったとしても、最終的には「パートナー」となっている萩原や古屋と、いつでも小さく出直す覚悟があるということでもあります。ま、そんな極端なことにはしやしませんが。

多くの人がユニクロから優秀な人材がどんどん流出したことを問題視するような評価をしていますけど、柳井社長の視線はあくまでもお客様にあって、どんなに優秀だといってもその会社にとって収益を生む、つまりお客様から評価される社員でなければ会社に留まってはいけないし、留めてはいけないということを愚直に実践されているだけだと思います。

もはや社員をモノ扱いして踏ん反り返る経営者に、与えられた仕事を文句言いながら片付けるだけの社員といった光景は、三丁目の夕日並の生ぬるい幻影だということでしょう。

もっとも実際の昭和20〜30年代は映画と違って、もっとシビアだったと思います。新聞報道によれば法人税収が半減するとのこと。当社も還付になりましたが、この先景気回復どころか、それこそ戦後の焼け野原に近い状態までなる覚悟が必要なんじゃないかと感じています。

ただ、それならそうでいっそ潔くヨーシやってやるかという気持ちにもなれるんじゃないかとも感じていますけどね。