ザッポスの奇跡 The Zappos Miracles―アマゾンが屈したザッポスの新流通戦略とは ザッポスの奇跡 The Zappos Miracles―アマゾンが屈したザッポスの新流通戦略とは

東京図書出版会 2009-11
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去年一昨年ぐらいの私だったら、この本を読んでいちもくさんにブログにこう書いただろうと思う。

「競合との比較を許さない、オンリー・ワンの会社にしよう!」
「お客様に熱烈に愛される会社にしよう!」
「社員全員が、ハッピーに、生き生きと働ける会社にしよう!」

これ全部、本書の裏表紙に書いてあるコピーなんですが、本当に立派なことでまさにその通りだと思いますけど、これを文字通り文言通りやってたら絶対にザッポスにはなれないと思います。

「競合との比較を許さない、オンリー・ワンの会社にしよう!そのためには、中途半端な企画で妥協したり、これぐらいでいいんじゃないの、という甘い品質管理を今すぐ止めよう。
「お客様に熱烈に愛される会社にしよう!そのためには、休日でも深夜でも、体調が悪くても気分が乗らなくても、いつも全力で応対できるようにしよう
「社員全員が、ハッピーに、生き生きと働ける会社にしよう!でも、収益上がらず給料上がらずだったらさっさと転職しちゃうけどね。

毎度、経営会議で社長は甘いと先生に説教されているわけですが、年商3億ぐらいまでは「情熱」がすべてと断言されています。情熱って何かって売上に対する情熱ですよ。

こういうと、なんだ結局カネの話だろ?と短絡思考の人もたくさんいるんですが、そんなの単純な理屈ですよ。お客さんに仕事を評価され信用されるからお金を頂戴できるわけで、それを積み上げる努力をどれだけ愚直にできるのかって話です。お題目唱えてて売上があがるなら何万回でも唱えますよ。

と、こう言うとみんなも多少は分かってくれるんだけど、でも実際に仕事に追われてくると(期待されて困難な依頼であればあるほど)、「ボクとしては最大の力で仕事をやってます!」とか「この仕事が山を越えたらなんとかなります」とか「よく分からないので自信がありません・・・」とか平気で言うわけですね。あ〜ぁ、まったく何も分かっちゃいないよ、なんですよね。

私も真剣にザッポスみたいな会社にしたいと思ってますが、だからこそそういう甘さを絶対に許したくありません。これは企業文化とかいう以前の問題(もしくは私の人間性の問題か)と思ってて、それすらできていないから会社も成長しないんだと、最近はどうやったら鬼とか悪魔とか言われんのかなと真剣に考えてます。

文化って言葉だと思いますが、であれば、まずはちゃんと文字が読めて、会話ができて、規律守って、成果が上がって、それからでいいと思います企業文化を云々するのは、やるべきこときちんとやっていれば自ずと文化は生まれるはずですよ。だから私自身は、ザッポスは奇跡でもなんでもないと思ってます。

[追記]

書いてて、気づいたけど、結局言葉が分からないから、何を言っているのかもわからないのだとしたら、言葉がわからない人に一生懸命語っている自分のほうが間違っているのかもしれないね。「言ってもわからない人には無駄だから何も言わない」と、多くの先達が言っていたのはこのことかもしれない。

もしくはいちいち頭で理解して動くような自律性を求めるのではなく、自動的に求められるように動かないといけなくなる仕組みをつくれってことか。