いま、デジカルのメディア事業部は、ようやく私がこういうことをやってみたかったということを実現できるところまでやってきました。

何よりも今一番実現したいことは、SEIHAサービスで新しいコミュニティを作ること、そのコミュニティにおいて、新たな手法で出版を実現することです。また、ちょっと脱線しますが、最近、完全に通う本屋が限定されています。店頭で新しい本に出会うという喜びが全くなくなった分けではありませんが、もう出会いはネット越しに、それもソーシャルフィルタリング越しになりつつあるのは間違いありません。そういう時代に、新たな本屋を本屋じゃない形で実現することができるのがSEIHAです。これはSEIHAの本質的なサービスとは違いますが、結果的に出版を実現できるプラットフォームだと確信していて、だからこそデジカルがやる意味があると強く感じています。あと、さっき書き忘れましたが、32booksはまだプロジェクトとして死んでません。生きてます。

閑話休題。それでSEIHAにあなた出版と、新しいサービス開発に邁進しているわけですが、何しろ私自身が未知の仕事の上に、未知のサービスを作っているわけですから、部員のみんなも全員そうです。毎日壁にぶつかり、先に道はあるのかないのか。けものみちを頼りに藪を切り開いている状況です。

ところで、こういった新しい事業を始めるには有能な人材が欠かせません。この場合、有能というのはエリートが欲しいということではなく(というか実際、エリートを採用して去年大失敗しました)、これから取り組む事業を面白いと感じて、その事業のある側面に関して、自ら貢献できると確信している人材が欲しいです。ある一部分で構わないのです。

その一部分を、僕は「単なる石工です」と職人仕事として卑下することはありません。「それでも、いまこんな素晴らしい大聖堂を建てているんです」と目を輝かせているかどうかが重要だと私は考えています。

河野さんと私の課題は、メディア事業部を創設すると決めた2年前から、この人材確保が最大のテーマです。それで、指導いただいてウェブメディアの仕事をちょっとずつ取り組み始めるのと同時にブログを真剣に書き始めました。そこで3年にわたって人材を集めて事業を立ち上げようと取り組んでいるので、私自身の覚悟は半端じゃないということは、徐々にわかって貰えているのかなぁとは思います。

ここ1年ぐらいそういう思いでブログを続けていたら、少し人が集まるようになってきたとはいえ、まだまだ物足りないものを感じていました。それは例えばデザイナーに「なりたい人」がやってきても、もっと新しいデザインを「やりたい人」がこないという具合に。

このように、求めている人材像と応募してくる人材のギャップを埋める何かが足りないと感じていましたが、ここに来てその足りないものが何なのか、ようやく明確にわかってきました。

それは現場のスタッフの実情が見える社員ブログです。

いまある会社に社長ブログが存在していたとして、そこに存在する社員ブログが、その社長ブログの内容を追随したり、はたまたあまり更新されなかったりといったことでは、「社長は何か言っているようだけれども、果たして今、その現場でそれが成し遂げられようとしているのか」ということが読み手には伝わりません。それは新しく加わろうとしている人にとっても「何を持って貢献すればいいのか」が見えないということでもあります。

そういった視点で、他社の社員ブログなどを見ていると、非常に上手く運営されている会社がいくつかありました。そして、それらの社員ブログには共通して、自分たちが経験したことを体系的にとりまとめ、多くの読者と積極的に共有しようという姿勢に基づいて運営されていることに気づきました。

ウノウラボ Unoh Labs
http://labs.unoh.net/

livedoor ディレクターブログ – ライブドアブログ
http://blog.livedoor.jp/ld_directors/

少なくとも優秀なスタッフであるということを考えながら(もしくは演出して)書いているように見えるわけですが、RTされたりはてブされたりするエントリーをたくさん書いている社員ブログの会社は、おしなべて技術力が高いように受け止められると思います。

ここで私が感じたことは、優秀な社員がいるから素晴らしいブログが書けるのではなく、何を書くのか編集方針を明確にしてブログを書き、発信し続けることで、在籍している社員が優秀になっていく(であろう)ということです。そう言った意味で、これからの社員ブログは、現場で得られた知見を共有するように書かなければなりません。

社長が先行きを示して、そして社員が現状を絶えずまとめ続けるといった、立体的な構造を自社サイト内で構築できたときに、その会社のホームページは初めて外部と真摯な対話を成立させることができ、ソーシャルメディアとして存在することが許されるはずです。そして、そこに生まれた「場」を介在して、然るべき人材が適度な新陳代謝を繰り返しながら、徐々に会社の組織を強めていくように集まってくるのではないかと考えています。

話は飛びますが、そういった文脈でこれから自社ホームページを見直していくのですが、ソーシャルメディアとして成立させていくためには、人材募集のための媒体もまたソーシャルメディアとして成立しているものを選ぶ必要があります。今日は、その最先端を実現しようとしている東京仕事百貨の中村さんとお話することができて、今日このように長々と書いたブログをまとめることができました。

これから8月後半、社長として人材募集に全力投入します。