創業した直後ぐらいにある本を読みました。小説仕立てのそのビジネス書は、起業から5年間で起こりうることを本人の経験に基づいて書き起こしたもので、デジカルを創業した年齢がまさにその主人公と同じ33歳で、しかも社名までそっくりということもあって、本当にむさぼるように読みました。それからことあるごとにページを開いてきました。もうボロボロです。
ああ、あの本ね。と気づく人も結構いるのではないかと思います。水色の本です。それで「告白」すると、その本に書いてあることホボ全てその通りになりました(もしくは今まさになっています)。去年、とある著名なリスペクトしてる40代実務家の講演を聴いたとき、受講者からの「起業したい人へのお薦めの本は?」という質問で、同じ本を薦められていて「本当にそうなりますよ。」とボソっと仰ってました。自分とは比べようもなく大きな仕事をしている人なので同列に並ぶのもおこがましいですが何となく嬉しかったですね。
それこそこのブログにも書けないような、いろんな事が起こるわけですが、中でも仕事と自分の心と社員との関係、そして家族の健康問題というのは、この本に書いてあるとおり密接に連動しているのは間違いありません。で、その本の最後のフェーズをまさに今やってる感じがしますね。しかも最大級の危機を社会的に共有しながら。
経営者ってシンドイ仕事で割に合わないなぁと思うことは多々ありますけど、それでも仮に今の社長を辞めたとしても、やっぱりまた新しく経営者になろうと思って動き出すだろうなと思います。編集者の仕事もとても刺激的でかつ人と関われる面白い仕事でしたけど、それを超えて人間味溢れる仕事というか、人の機微に触れる濃密な人間関係を作っていく過程が、何事にも代え難いですね。その上で仕事が経済的にも成功したらもう言うことはないでしょう。
仕事と生活、もっというと人生とダイレクトに直結している仕事だなぁと思います。そういう仕事ができる幸せというか、機会を頂けていることには本当に感謝ですね。おいおい、社員のことはどうなっているんだ、と言われそうですが、まずは経営者が安全でかつ楽しめる状況でなかったら、この先長くはやっていけないと思ってます。それを誤魔化しながら、なんとなくダラダラと続けていくことの方が無責任だろうなとも。
そのためには結果を急がないことも重要だということに最近気づきました。お茶のお稽古でも先生が仰っていたのですが、やっぱり短期間でガーっと仕上げていく人は飽きも早くて続かないし深いところまでは達しないと。古来からほどよい加減が重要と言われているのよと(何という言葉か忘れましたが)。そういう意味では社中では同門の皆さんの前でウチの優等生の一人よと紹介されるほどの上達振りなんですけど(自慢自慢)、やっぱりお点前だけ上手くなってもダメなんですよね。そこにちゃんと哲学というか人間性が追いついていかないと。
ちょうどこの先仕事もさらに忙しくなるなぁと、稽古に通い続けるのは大変だなぁと思っていたのを察知していただいたのか(まぁ震災の対応で大変だろうと思ってですが)、昨日の稽古の帰りに、「仕事の合間にお茶を一服いただきに来るぐらいの気持ちでいらっしゃい」と言われました。で、そうだよなぁと。
経営者の仕事も、誰に命令されるわけでもないし、そうそう注意してくれる人もいるわけもなく、加速させようと思えば気持ちも含めてどんどんと前のめりになってしまうものだと思います。しかし、焦ることなく、今ある状況をしっかりと受け止める。その上で、じっくりと動かして行けばいいのだろうなと、今日は震災一ヶ月ですが、今日のところはそういう心境に達しています。
そういう心境に達して初めて、本当にいまできることをしっかりやることができるのだと思います。私の場合は、それは社員に方針を示すこと、新しい仕事を作ってくること、社員の仕事を助けること、励ますこと、そして褒めること。そういうことだろうと思います。
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