この1年近く、電子書籍・電子出版の今後の展望について準備と議論を進めてきましたが、いま自分の手元にある情報や実績は先端ではあるようです。かつ実直に読者や著者やビジネス関係者と意見を交わしているうちに、いま想定されているモデルが既存の出版モデルの亜流である以上、ある一定段階で天井にぶつかる可能性もあることを感じています。

要するに最終的にみんなを幸せにできないんじゃないかという疑念です。それが実現できれば具体的に顔の見える誰かが幸せになって、その結果商売としても儲かり、社員も幸せになるという仕組みではないんじゃないかということです。

この正月に親父殿と紙の本と電子書籍の今後についてディスカッションしました。今から数年前の「新聞いるいらない」論争では、昨年「おまえが正しかった」と、新聞を全部止め今ではすっかりネット三昧の親父殿ですが、今度はそんなに時を経ずして「やっぱり、おまえの言うとおりだった」と言わせてみようと思っています(笑)

つまり親父世代に「これは面白い」と思わせる取り組みがいいだろうとターゲットを絞りました。

ということは、今準備していることがダメだということ?

違います。今やっていることも価値があります。ただ、その先もう一段努力しないと達成できないところに、さらに価値ある事業が眠っていることが分かったということです。それもこれも、ここまで黙々と登ってきたから見えた景色というわけで、いま頑張っているスタッフはそのまま大きな事業にシフトでき儲けも大きく期待できるので、そこで必ずや幸せにすることができると考えています。

電子書籍、電子出版については、「こうあるべきだ」論がたくさんです。主に既得権益や誰かの挑戦に関する批評だと認識していますが、私は評論家ではなく実務家なので、実質的にそれが実現できる戦略を立て、着々と展開していくのみです。

最善の戦略は戦わずして勝つです。厄年も明け、もう自分もいい大人と認識して無駄な喧嘩はしません。

さて、作業要員としての人材募集は終えましたが、この電子書籍・電子出版については、引き続き人材を探します。近くデジカルとは別会社を共同で作る可能性もあり、その時に編集長を務めてもらえるような人と考えると、日頃からネットをとても楽しんでいて実務能力がある30代後半から40代前半、自分と話が合う同年配の方と考えています。

そして、基本的に優秀な人は、すでにどこかで働いているので、可能な限り現在どこかの組織で活躍している人と考えています。