実績紹介です。1月にネットスクール社より刊行されました。

これからの社長の仕事
これからの社長の仕事
会社を持続的に成長させる「農耕型企業風土」づくり
園山 征夫 ネットスクール
2012-01-20
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園山さんは、20数年前に故大川元CSK会長に命じられ、ベルシステム24を立て直して業績を大きく拡大、テレマーケティング業界を確立された名経営者です。

そしてこの業績絶好調の経営者を”ハゲタカ”ファンドが突然解任するのですが、その後3年の沈黙を破って出版となったのが、昨年初秋に上梓された前著「これからの課長の仕事」です。ということで2冊同時にご紹介します。

これからの課長の仕事 社員が「わくわく元気」になる農耕型企業風土
これからの課長の仕事
社員が「わくわく元気」になる農耕型企業風土
園山征夫
ネットスクール
2011-09-01
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最初に仕事をご依頼頂いたときには浅はかにも単にビジネス書のように仕立てればよいのかなと考えていました。

しかしよくよくお話をお聞きするうちに、園山さんの経営理念である「農耕型企業風土」を体現する本はどういうものであるべきか、また初めて本を書く著者が、初めてビジネス書を出す出版社から本を出すときに、どういった戦略をとればいいのか、といった課題に頭をや悩ませました、さらには当時は震災直後の混乱した状況で先のよく分からない状況もあって、これからどういう本が望まれるのかなども随分考えました。

とにかく名経営者のビジネス書として社長の棚にいきなり乗りだしたとしても、その後も本を置いてもらい続けることができるだろうかと、その点が心配でした。短期的に売れるということだけを意識すれば、解任時の話をセンセーショナルに押し出せばよいのでしょうが、園山さんも園山さんに惚れ込んで出版を決意されたネットスクールの桑原社長も、そういったところで「売れる」路線を考えていないことがわかり慎重に読者を開拓していく必要があるだろうと考えました。

そうしたときに桑原社長より園山さんの本を出し続けるという意向を示してくださったので、安心して大きく企画展開を考えることができ、出した結論はターゲットを絞り棚を選択すること、そして読み込める味わい深い本にするということでした。

震災後の空気が多分にそうさせたのですが、これからの時代を背負う若い世代に向けて整えてくださいとお願いしました(殆どのところ自分のために書いていただけませんかとお願いしました)。それから、解任した直後からの話を盛り込んで頂くようにお願いしました。すでに経営層に向けてお書きになっておられた原稿も若干目線を下げて頂いて、園山さんが社長に就任した40前後のことを思い浮かべてもらってマネジメントのノウハウなどを語って頂きました。

課長と絞ったのは、課長本のジャンルがあり社長本ほど入れ替えが激しくはないだろうという判断で、結果的にですが、当初予定していた黄金に実った稲穂のカバーを今回の社長本に回すことができて、きれいなセットを作ることができたと思います。それとこれは想像ですが、解任直後の話を導入にしてミドル層向けにしたことで、現役、元社員の方々にも改めて興味をもって手にとって貰えたのではないかと思います。

つい先日、ベルシステムの社員の方々が中心となって出版記念パーティが盛大に挙行されました。退任されて3年もなるのに、100人を越える社員の方々が集まって園山さんとの再会を楽しんでおられ、園山さんが著書でも強調されている「場」づくりの成果をまざまざと見せつけられた気がしました。社員の幸せを考えること、本当に実践するとこういうことになるのか、素晴らしいなと思いました。

今回2冊とも編集制作デザインだけでなく、印刷製本まで担当させていただきました。印刷は前職から大変お世話になっている昭和情報プロセスさんです。手触り感を大事にモノとしての本の良さを活かすことを考えて紙についても相談させてもらいましたが、上手くまとめてくださってきれいな本に仕上げていただきました。不定期な案件依頼にも関わらず、小崎さんにはいつも丁寧に応対していただき助けてもらっています。

長くなってしまって社長本の内容までたどり着きませんが、それは経営者として感じたところを今後も別のエントリーに書きたいと思います。また、今回の仕事を通じて、私自身は個人的に、これから「経営者のための本を作ろう」と決意しました。紙の本です。やはり本は手にしてもらって初めて意味を持ちます。そして書店で「売れる」ための戦略も、急がば回れで、違うルートをたどって結果的に売れるところに持って行けるようにと考えています。人の行く裏山に道あり花の山。

最後になりましたが、今回の仕事はネットスクールの岩田さんにFacebookで声をかけて頂いたところからスタートしました。直後に震災があって会社がドタバタして、その際には桑原社長を始め、遠藤さん、岩田さんにはとても心配して頂きながらも仕事を続けさせて頂きました。このご恩は絶対に忘れることはないです。訪問するたびに、いつも暖かく向かえて頂き、今のデジカルの再起もネットスクールの皆さん園山さんとの出会いがなければ半端なものとなったことは間違いありません。

そういった真剣に読者や社員や取引先のことを考えて経営している方が、尊敬する経営者に依頼して社員の幸せを願う社長や経営層に向けて作った本です。社員を幸せにしたいと考えている社長の皆さん、ぜひ読んでみてください。