海賊とよばれた男 上
海賊とよばれた男 上 百田 尚樹講談社 2012-07-12
売り上げランキング : 56Amazonで詳しく見る
海賊とよばれた男 下
海賊とよばれた男 下 百田 尚樹講談社 2012-07-12
売り上げランキング : 71Amazonで詳しく見る

出光興産創業者、出光佐三のお話です。私の実家は福岡県宗像市というところにあるのですが、この方はまさに郷土の偉人で、小学校の時に「あの出光石油の創業者は地元の人なんだよ」とは習ったのですが、どういう人だったのかは、恥ずかしながらこの本を読むまで全く知りませんでした。

作者の百田 尚樹さんは、「永遠の0」を@passionhackさんに教えて貰って知りました。私自身かなり戦記物を読んでいるので、表現が薄っぺらいものはほとんど受け付けないのですが、永遠の0は結構すんなり読めて、依頼作家として注目していました。今回の本はライトな山崎豊子という感じなのですが、今まで薄ボンヤリとしか知らなかった経営者の強烈なエピソードの数々もあって一気に読み終えてしまいました。久しぶりに読書を楽しんだ気がします。

もちろん経営者の端くれとして感じるところも多々ありましたが、だからこの通りに目指そう!などとは全く思えませんでした。というのも、これほどのことを成し遂げるために、どれだけの苦しみを耐えてきたのかと、それをちょっと想像するだけで疲れてしまうほどのエピソードの数々。

物語としてこれほど痛快なことはないと思いますし、それをサラサラと書いてあるのですが、その行間にあったであろう出来事を想像するだけで胃が痛くなるほどの逆境の連続です。そういった意味では、自分は比較してどれほどのものなのかと、読み終えた後に考えるところがありました。

それにしても、敗戦直後の店員への訓示「愚痴を止めよ。いますぐ建設にとりかかれ」という言葉には私も励まされました。とかく既得権益が、構造不況が、マーケットが、あれがこれが、と新しいことをするにあたって、いろいろと成し遂げられていないことへの言い訳をしたくなるところですが、よし建設あるのみ、と改めて心に誓いました。

今日書店店頭で並べてあった本、著者の名前をどこかで見たなぁと思ったら昔の宗像市長さんでした。次はこちらを読み始めました。

出光佐三 魂の言葉―互譲の心と日本人
出光佐三 魂の言葉―互譲の心と日本人 滝口 凡夫海竜社 2012-05
売り上げランキング : 49904

Amazonで詳しく見る