濃密にコミュニケーションをとっている共同開発プロジェクトのカウンターパートの方と「この分野に関わっている人はみんな不幸」だから「いいところをみていいところを伸ばしていくようにしましょう」といつも話をしています。

アレはコレがダメ、ソレはアレがダメ、いまの世の中9割ぐらいはダメ出し係だと思います。Twitterなんてひどいもんです。なので今の時代、新しい取り組みに果敢に挑戦する人は、もっと尊重されるべきだと私は思います。いまそれを拒んでいるのは、近代の身分制度、労働貴族だと私は思いますが、すでにその身分制度の崩壊はどんどん進んでいると感じます。これからは本当の個人の時代、個人の人間力の時代だと思います。

ただし、闇雲になんでも新しい未知のことをやればいいわけではないと思います。スタートアップがもてはやされますが、私は身分制度が崩壊しているからこそ、突飛なことをするのではなく、人としてきちんと自分を律して、人に対して真摯な態度で当たり前のことを着実に積み重ねていかなければ、これからの新しい時代は乗り切れないと思います。先行きの見えない時代だからこそ明るい未来の展望を持ち続ける必要はありますが、そこに日々の努力の裏付けがなければ、約束されたはずの未来は容易に裏切ります。

未知の仕事に取り組むとき、その将来像に人は胸躍らせ、それが駆動力となって大きく動き出すことができます。しかし、それも早晩単調なルーチンワークの処理に変わり、次から次へと現れる新たな課題が積み上がり、それが不満や疲労として蓄積していくと、いつしか胸躍らせた将来像は、それを促した人への呪詛へと、また、はまり込んでしまった自分の不幸を呪う思いへと転化していきます。

このときに大事なことは、心のどこに焦点を合わせるのかということだと思います。

荒野に咲く一輪の花を、大事に守りやさしく愛でるように、よいところ、上手くいっている部分、見込みのある仕事に集中すること、そう意識することによって、いくら背中に冷たく吹きすさぶ風が吹き付けようとも、信念の灯火を消すようなことにはなりません。

すぐにダメ出しをする人、これは自分に対してダメ出しをする人も同じですが、いつも駄目なところに焦点を合わせていると思います。そうではなくて今日一日、成し遂げたひとつのに着目し、また何か一つ成し遂げられるように一日を努力すること、そのことそのものが幸せの根源だと思います。

幸せになるのではなく、不幸を選択しないという意識です。プロマネは常にそれを意識していく必要があると思います。