プロジェクトマネジメントの要諦は、大きな仕事を誰にでも分かりやすく、こなしやすい形に分解し、これなら片付けられるぞと思わせられる指示を出すことにあります。チームでも自分自身をマネジメントする場合でも同じだと思います。

人間やれる、やれそうと思うときが一番モチベーションが上がるときだと思います。

ただ大きく困難な仕事であればあるほど、その仕事のコアはとてつもない硬度となって眼前に現れます。もしもこのコアを分解せずに指示を出せば、それは「ふわふわぼんやり」としたお願いとなって受け手に伝わり、恐らくその仕事は達成されることはないでしょう。

どうすればよいのか。

着目すべきは仕事のコアの成分です。これは未知の問題や課題点が複雑に絡み合って形成されています。さらにそれは常に圧縮凝縮され、まるで岩盤のように目前に立ちふさがります。このコアを打ち砕き、誰もが持ち運べる石コロに分解することこそが、もっとも重要で困難かつ重労働なプロマネの仕事だと思います。

しかし打ち砕いても打ち砕いても次から次へと現れる問題点や課題点。有限な資源で目的を達成するためには時短が必要ですが、なかなか打ち砕けない岩盤に気が焦ります。そして焦れば焦るほど、今日は岩盤を貫こうと思っても、明日になればいや迂回して掘り進もうと、行ったり来たりで進みません。

そんなときには、ほんの1滴の水滴ですら、それが落ち続けることでどんなに堅い岩盤でも穴を穿つという事実を思い起こすべきだと思います。この世に打ち砕けない岩盤(問題)はないということです。

そして具体的には、「ハガネの意志でできたスルドイ分析力ドリル」を「ユミズのごとくあふれ出る情熱の燃料でエンジンを回し続ける」ことでこの岩盤は確実に粉砕することができると思います。

では、どうすればそういった道具をもてるのか。

まずドリルですが、世に頭のよい分析ができる人はたくさんいますが、問題に直面するとスルドイ刃先もたちまちすり減り、折れ曲がってしまうことがほとんどです。そうならないためにはドリルの刃先を鍛えるしかありません。これにはPressure makes Diamonds 日本語にすれば艱難辛苦汝を玉にす、を理解することでしょうか。

次に永久機関のように情熱の火を燃やし続ける動き続けるエンジンですが、要点は2つ、1つは火を絶やさないこと、これは信念の灯火です。それから情熱の燃料の成分を変えること。これは、やりたくないことを明確にして、やりたいこと成分を濃縮しオクタン価の高い燃料を絶えず自己で作り続けるということだと思います。

プロジェクトマネジメントというのは、本当に人間くさい仕事だと感じます。そして、9割9分進まない現実に歯を食いしばる毎日、ただそれがガラガラと打ち砕かれ、メンバーが嬉々として瓦礫を片付け始めた瞬間に、とてつもない達成感を一瞬だけ得られます。

このプロマネの充足感。一度味わうと一生はまり続ける魔力があると思います。