出版社から頂いた見本を置いている棚に珍しい本があったので、1冊持ち帰って熟読しています(本書は装丁を担当しました)。

先日紹介したリーンスタートアップでも触れられていた、トヨタのカイゼンの仕組みが図解されている素晴らしい本です。「後工程から前工程」「かんばん」「あんどん」など、これまで何となく理解していたことを精密に把握することができました。

それにしても、いつもどうしたらよいのかとウンウン唸っているとこのようにポッと目前にヒントが現れてくるのは本当に面白いことです。つくづく自分は運がいいなと思うわけですが、せっかくの機会を無駄にしないよう、先人が積み上げてきた資産を有り難く使わせて頂きたいと思っています。

この1年近く、ひとり屯田兵状態から始めた新しい出版システムの開墾も、だいぶん平地が整ってきて道路や鉄道が少しずつ敷設され、掘っ立て小屋の工場(こうば)建設のところまでやってきたイメージです。今週からは新たなメンバーも加わり、今月以降この新しい工場から新しい本が少しずつ数を増やしながら出ていく予定です。

そして、この工場(こうば)を工場(こうじょう)にします。そのためにも自分自身の課題も、計画実行手法、対話技術の向上と、そのテーマを絞って勉強と実践を繰り返していますが、最近は着実に積み上がっていく仕事の面白さを実感しているところです。

いまでも日本有数の電子書籍生産ラインだと思っていますが、これをこれから短期間で品質、生産量ともにまずは日本でNo.1、世界で有数にしたいと思います。そうすることで関係スタッフの永続的な仕事の場を確保したい考えです。

工場建設というとなんだか男っぽいイメージですが、この計画実現のために私が集めたのは、同年配の女性スタッフです。

私がいま考えていることは、女性的な感性を活かしたモノ作りの流れや繊細かつ豊潤な対話環境を土台にした出版のサービス化で、工場建設は手段にすぎません。そして同年配なのはこの先ずっと長く一緒に働くことを前提にしているためです。

いままでの出版社ができないこと、ネット企業がわからないこと、大企業では手の回せないところに絞って、かゆいところに手の届くサービスを高品質で展開したいと考えています。

工場(こうじょう)建設ではなく、そこから生み出されるサービス提供の価値向上を目的にしました。この本の価値に気づけたこともそうですが、そのことに気づくことができたこの1年の価値は大きいと思っています。

目指す頂きはかなりの高みで相変わらず標高はわかりませんが、現有スタッフで一歩一歩歩いて登れば登頂可能と考えています。また、この目的設定によって将来的にデジカルもトヨタのような盤石な経営基盤を持つ大きな会社になることを約束されたと思っています。

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