電子出版の本質は何かを考えたときに、いくつかの解答をもって事業に当たっていますが、編集プロダクションとして避けては通れない目的のひとつが、この編集制作業務の革新です。

しかし、この革新を目指すときに、大きな障害となるのが常識と自社(社員)の都合です。

今回、常識の点では、そもそも業界の常識を持っていない人を組み合わせて業務を設計運営することで、最初から革新的な経営を目指していますが、だからといって上手くいくわけもなく、社員それぞれのインセンティブをよくよく把握して、各自がやりたいことを集中して取り組んでもらえる環境を整える必要があります。

経営が泥臭い仕事だと言われるのは恐らくこの各自のインセンティブを理解して調整をしなければならない点で、根気よく対話を続けられる熱意がなければ事業は推進できないし、それを大変なことと受け止めるようでは持続はありえません。

冷徹に革新的なサービス収益構造を考える頭の部分と、それを動かす人間臭い組織を作るという言わば心の部分との分化と調和が非常に難しく、この点でベテラン経営者の人間力のすごさを痛感します。まだまだだなぁと。

ただ、いま目指している編集制作業務の革新を実現することによって、多くの方に出版の楽しみ(それは出版による自己実現であったり、事業の告知であったり、書籍の販売収益だったり目的は様々ですが)を廉価に提供することができると考えていて、実際すでに少しずつ成果を上げています。

廉価にサービスを提供できるけれども、自社としては高収益という姿が本当のビジネスイノベーションです。いま経営者としては、そこを目標にしています。

革新を目指す経営については、教科書通りに実行をしているのですが、以前は読んでも分からなかった部分が、なるほど!こうやればいいのか!とわかってきて面白くて仕方がありません。面白いだけでなく、実現に自信を持ったので、社員のみんなにも事業革新の結果である高収益型企業に転換することを経営方針として約束しました。

今日はたまたま商談先で、編集者として駆け出しのころお世話になった方々にご縁を感じる話が続いたのですが、ふと、そもそも創業のきっかけの一つが、ひとりの編集者としてのサバイバル的な発想からはじまっていたことを思い出しました。10年前に、40過ぎたときに自分は編集者としてどうやって働いているののだろうか? 確かにそういうことを考えていました。

いまそれを編集制作の革新を目指す組織をつくることで、引き続き編集者として仕事を続けるための転身を実現しつつあるようです。