正直に言おう。わたしは、他社のまねっこ企画と、編プロやライターさん任せの編集しかできない、あるいは、偉い先生の原稿を右から左へ回すしかできない編集者は、業界に不要だと思う。かれらの雇用を守るために、売れないのを承知で新刊の数あわせと押し込み納品の自転車操業を続ける出版社は、淘汰されるほうが世の中のためになる。

出版に展望はあるが、○○な出版社に展望はない 〜出版書店業界事情 ●干場 | ディスカバー社長ブログ

取引先のほとんどが出版社である当社では、ひしひしとその淘汰の実情を感じているところです。この流れは2012年ぐらいに向かってどんどんと加速するのだろうとも思います。

そして仰ることは本当にその通りだとも思いますし、版元の編集者ですらこれほど厳しい状況ですから、編プロの編集者がやるべき仕事とは何か?それを考えると相当な努力が必要だと思っていて、現在中途採用を実施していますが、出版編集者の採用についてはより厳格にせざるを得ません。

既得権のない分、つねに、コンテンツクリエイト、マーケティングクリエイトをしていかないと、生き残れない。そういう緊張感がある。

この言葉、編プロである当社にこそ当てはまると痛感しています。しかし、「弱みこそが、むしろ、強み」と干場社長が仰ることも同感で、あえて取次口座を開かずに出版を目指すという方向を追い求めてきましたが、そうこうするうちに、この方向で進めば、新たなマーケットを作ることができるのではないかというものが見えてきました。

ということで、今こそ版元におられる売れる編集者の皆さんにお声がけしたいです。だからこそ、淘汰されるであろう版元で燻ってないで、既得権の皆無な編プロである当社に来て一緒に編集者の、そして出版の未来を作りませんか?と。

人材に関して言えば、先日、新卒採用の件でインダス社のナベケンさんにお会いして新卒採用について相談しました。今年の新卒採用は前回の就職氷河期の比ではない史上最悪の状況になりつつあるということで、当社としても秋から新卒採用の方向だったのですが、新卒、第2新卒含めて、来年は多彩な新卒人材が確保できるチャンスだと考えて冬以降に判断を伸ばしました。

いま職や内定がない人にどういったアドバイスをすればいいのか、私自身にはその経験がないのでなんともいえませんが、仕事に就いている人については、どんなことがあっても3年ぐらいは仕事をし続け、きちんと実績を作るべきだろうと思います。そうやって自信がついたらキャリアアップで転職するのもいいでしょう。もちろんできればその会社の成長とともに自分が成長できるのが最善だと思いますが。

ちなみに転職も起業も経験した私としては、さてさてお手並み拝見、というような周囲の無言のプレッシャーを感じた転職のほうがきつかったですね。

それにしても、こんな状態で今週末は選挙ですが、もし非正規雇用を廃止するというような政策が通ってしまったら、ただでさえ若者が職に就けない状態で、この先いったいどうなるんでしょうね。

もっとも、私は政治家ではないので、いち事業経営者としてできること、優秀な人材を中途採用すること、新卒採用した新人を育てること、新たな新人を採用できるようにすること、は可能な限り続けていきたいと思います。また、仲間となった社員に対しては、厳しい時代だからなおのこと、心を鬼にして指導育成し、かつ厳格に経営して収益をあげていかねばと思っています。

それによって出版を変える、ひいては国を変える一助になればと考えています。