EVERNOTEハンドブックを買ってみました。

こういった新しい試みは実際に自分でお金を出して買ってみる経験が大切だと思っています。もちろんEVERNOTEユーザーですし、あとは掘さん、大橋さんの活動を素朴に応援したいという気持ちもあるので(こういう気持ちになるところが電子出版では大事な気がする)。

実際に購入してみて、本書の対象ユーザーにとってみれば、購入方法がPayPalであることも、PDFであることも、何の障害にもならないと思いました。かえって、PDFがメールで送られてくるというシンプルさが嬉しいほどです。それからレイアウトにしても私はMacBookProの15インチの画面で見ていますが十分すぎるほどです。

こういう経験をすると、想定読者抜きで進んでいる電子出版の(カタチについての)議論が、相当不毛なことに気づかされます。iPadだろうがkindleだろうが、どっちでも何でもいいんじゃないですかね。一方で著者が自らこれだけやってしまうのであれば、よっぽど魅力的な企画と構成で、さらに誌面をリッチに作れないのであれば、編集者やデザイナーなんて全部失業しちゃうんじゃないのかと、そんな不吉な未来を想像してしまいました。

実のところ私自身も、これまで同様の企画を提案する衝動を抑えるのが困難でした。しかし冷静に考えてみて、従来の著者と出版社といった構造で電子出版を実現させたとして、本当に儲かるのだろうかという疑念が払拭できませんでした。結局賄った費用を回収するために、過度に宣伝して売り込むのであれば、今と何にも変わらない気がして。

そういう考えを経てハブメディアのプロジェクトでは、著者を立ててというモデルを今は考えていません(それは、あなた出版社でアプローチを変えてやります)。いまはコンテンツを作っていく(そういう体験の場所を作る)ところからスタートして、出版に繫がるウェブメディアに興味が移っています。

この本の真価ともいうべきところは、バージョンアップが無償ということなんですが、このコミュニティブックとでもいう仕組みは、今考えているソーシャルコミュニケーションの本も、紙の本ですが同様の取組を実現したいなと思いました。

とにかく購入してみて、電子出版元年だ!とかいった業界目線の派手さが先行するようなものではなく、じわじわと、じっくりと、そして着実に実践されていることに勇気づけられたというか、よーし、俺も頑張ろうと思いましたね。とにかく、さすがだと思いました。

Evernoteハンドブックはただの本ではありません。

本のコンテンツは常にユーザーからのフィードバックや、Evernoteからの新しいニュースによって改訂されていきます。しかもその都度、アップデートは無償で読者のもとに届けられる予定です。つまり1度のご購入で、何度も新しい本がお手元に届くのです。そんな新しい本への可能性を、980円でお届けいたします。

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