もはやこのブログのメインコンテンツといってもいい「都落ち」。

その契機となった3.11から3年経ちました。

当時は攻城団の開発に頓挫して半年、泥沼に陥って溶けていく資金を横目に見ながら、その前期に初めて作った莫大な赤字を前に、乾坤一擲起死回生の一策と(そんなことを考えている時点で終わっていたわけだが)開発も佳境、そこに文字通り激震が走りました。

当日は社員を御苑に避難させ緊急会議をし、その後クルマで自宅まで送り届けたりと、その日のことを語り出したら長くなるので割愛しますが、問題はその後10日ほど全く営業にならず、それによって本業が傾きかけたことが決定打となりました。

決断と実行は早かったと思います。4月の開発中止、5月編集事業撤退と社員整理。6月の事務所の縮小移転、そして7月に2期連続大赤字の決算。

それから1年、ひたすら後片付けと立て直し。次の1年が新しい体制の土台作りと電子書籍制作ロジ構築、そして去年ようやく一つの結果を出して、次のフェーズを目指すところまでやってきました。

とにかく、この3年間で学んだ組織経営と事業開発における泥沼の匍匐前進経験は値千金としか言いようがありません。

現業を黒字にしながら、新しい事業も作り、そこに多額の借入金を追加の資金調達なしで返済するという強烈なプレッシャー。

経営者として突きつけられた現実の前に、いままでに積み上げてきたつもりの実績やらプライドを、これもいらないのか、あれもか・・・と、1枚1枚ベリベリ剥がしては丸めて捨て去る3年間でした。

そうやって考えて今年になって気付いたことは、 震災を機に人生観が変わったというよりも、変わらざるを得ない状況に対応していった結果、気付いたらいつのまにか目の前に新しい空き地が用意されていたということです。

そして、この新しくできた自分の中の空き地に、またコツコツと事業を建てるため、先日もお伝えしたとおり第二創業として取り組みます。事務所を環境改善のため移転し会社の看板や体制を刷新します。

ここで、いま自分が感じているのは震災起点での視点はなく、現在いまこの瞬間の充足起点からの視点です。「震災後」は自分の中では今日正式に終わりました。

会社の事業も経営戦略も、個人の仕事の内容や生活リズムも、すべてをひっくるめて現時点の最適化を基準にしてこの先進めたいと思います。

ようやく自然体で「新世界」に入った感じがしています。明日から伸びやかに事業を伸展させられるように思います。