経営者はどんどん前進しなければなりません。しかし、その後ろに誰も付いてこれない独走となれば、経営をする意味がありません。

この課題は常に解決を迫られ、その時々に気付きを得ては改善を繰り返しているのですが、これぞ経営のコツだと思っていたことも、振り返ってみるとその当時のその状況にのみ通用する単なる対策の1つだったとわかることがあります。

【メモ】3歩進んで2歩下がるコツ 2012年11月10日

久しぶりに面談した友人の「人よりも3.5倍ぐらい速いと思う」「企画が多すぎるのでは」という指摘に対して、いや、適切なブレーキングをしているつもり・・・と答えかけて言葉に詰まってしまいました。

そうか、ブレーキをかけて減速をしたとしても、それは後ろに対して「待ってるから早くしろよ」という催促で一緒に同じ景色を眺めて楽しもうということではない。少なくとも付いてきている人の気持ちには立っていないなと。

ここ暫く計画立案と契約交渉の連続で、2手3手どころか、5手も6手も読み進めていて、自分でもすこし加速しすぎている実感もあったので「減速」は常に意識していたのですが、この絶好の機会に本当に減速でいいのか? という不安を消化仕切れず迷いにも繋がっていました。

その迷った表情を察したのか、上手く言えないけどと前置きして友人が一言。

「ハンドルをつけてカーブを曲がって進めばいいんじゃないの」

なるほど。自分ではエンジンにアクセルにブレーキ、それにハンドルまで完備していて、そこにシフトギアも付けたのでコントロールはもう完璧だと思っていましたが、そもそも最短直線コースを最高速度で走り抜けようとしている考え方自体が問題というわけですね。まったく気付かなかった。


高速道路といえば、ナチスドイツが発明したアウトバーンと、それを参考作ったアメリカのインターステート・ハイウェイが有名ですが、少し前にヒストリーチャンネルで見たアウトバーンの番組を思い出しました。

その番組によれば、アウトバーンがナチスの技術力誇示を目的として、ドイツの自然を美しく見せるためにゆるやかなカーブが連続するように設計してあるのに対し、ハイウェイは効率よく作るため、なるだけ直線となるように建設されたが、後に単調な長い直線道路が高速道路催眠現象を引き押すことがわかり、結果的にアウトバーンの先進性が明らかになったという話でした。

1930年代にインターチェンジや追い越し車線を完備した高速道路を作ると発想したこと自体スゴイ話ですが、景色を楽しみながら走るしくみが、結果的に安全性に繋がっていたという点では、今回の気付きにも繋がる話だと、改めてその番組を見直しました。


いままでスピード調整という観点からは、自分自身の行動を適宜コントロールしようと意識してきましたが、これはもう少し長期的な視点にたって、行動習慣や行動規範を根本的に見直すところから変化を求められているのかもしれません。

さて、そこで具体的に何をどうしたらよいのか。今日現在はさっぱりわかりませんが、少なくとも今日出発して今日目的地につくような話ではないわけですから、わかるまでサービスエリアでくつろぐことにします。それぐらいの経営の余裕はあるようです。

経営のコツここなりと気づいた価値は百万両。